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TBM2Gフレームレスモータ使用例:過酷環境下の推進システム

Kollmorgen TBM2G をベースにした推進用フレームレスサーボモータの紹介

サーボモータは、しばしば過酷な環境で使用されます。たとえば、潜水艇の推進システム、宇宙機器、高真空環境での半導体製造設備、高圧洗浄にさらされる衛生機器などがあります。

Kollmorgenでは、極限環境での使用に特化した多くのハウジング付きモータをご用意しています。たとえば、潜水用途向けの Goldline Sシリーズ、洗浄対応の AKMAシリーズやAKMHシリーズ、放射線耐性のあるモーターバリエーションなどです。
しかし、最もコンパクトで軽量な機械設計を実現するには、フレームレスモータを機械構造そのものに直接組み込むという、もう一つの有力な選択肢があります。

フレームレスモータの利点

フレームレスモータは、従来のハウジング付きモータに備わるハウジング、ベアリング、シャフト、エンドベルを持ちません。代わりに、ステータは機械本体の構造内に収められ、ロータは機械側のベアリングで支持されます。これによりモータ自体は摩耗箇所がほぼ無く、事実上メンテナンスフリーになります。

さらに、マシン側の設計でモータを環境要因から保護できます。例えば、洗浄液からの隔離、高真空環境での熱対策(ヒートシンク)、電離放射線の遮蔽、あるいは動的シール/オイル充填・圧力補償された筐体内にモータを収めることで、水中推進システムなどの用途にも適合させられます。

フレームレスモータと他のモーション部品の統合

フレームレスサーボモータを使ったモーションシステムを完成させるには、システムの機能や設計上の制約に応じて、追加の部品を組み合わせて構成されます。

  • フィードバックデバイス(必須)
    エンコーダ(アブソリュート型またはインクリメンタル型。用途によって異なります)やレゾルバが、ロータの位置をサーボドライバに伝え、閉ループの速度・位置制御を可能にします。エンコーダのホールトラックや、TBM2Gモータに内蔵可能なホールセンサ信号でサーボドライバがモータを整流します。
  • 温度センサ
    TBM2Gサーボモータには、必要に応じて巻線温度を監視できる温度センサオプションが複数用意されています。
  • ギア
    フレームレスモータは、コンパクトでバックラッシュのないハーモニックギア(波動歯車装置)だけでなく、サイクロイド、スパー、遊星ギアとも組み合わせて使用できます。
  • ブレーキ
    電磁式または機械式のブレーキが、無通電時に保持トルクを提供したり、アプリケーション部品を保護したりするために必要となる場合があります。TBM2Gの性能は、ブレーキ部品の近くに配置しても影響を受けません。
  • 機械自体のシャフトとベアリング
    TBM2Gフレームレスモータには、ステータと回転シャフトに直接結合されるロータが含まれており、独自のベアリングで支持されます。機械全体の設計を変更する必要はなく、ロータを追加する位置をシャフト上で決めるだけで構いません。

さらに性能を高めるために

アプリケーションの性能を最大限に発揮するためには、いくつかの工夫や選択が必要です。そうした設計のポイントについて、Kollmorgenでは以下のようなサポートが可能です。

  • ハウジング設計
    ステータを十分に放熱できる素材で支持する必要があります。鋼鉄は良好な熱伝導性を持ちますが、アルミニウムの方が優れています。一般的には、最小で4〜6mmの壁厚が必要です。
  • 温度計測
    試作段階では、モータが必要なトルクや速度で動作している際に、どの程度の温度になるかを把握するため、温度センサを使用することをお勧めします。
  • 耐放射線設計
    宇宙やその他の高放射線環境においては、Kollmorgenが材料を改良し、早期劣化や高真空下でのアウトガスに耐えられるよう対応することが可能です。
  • 冷水環境での使用
    海中やその他の冷水環境では、自然な液冷効果を活用し、モータ性能をさらに向上させる方法をご提案できます。
  • 製造性を考慮した設計
    アプリケーションの組立工程を十分に理解することで、効率的かつ安全な製造ワークフローを実現し、コストや複雑さを削減しながら、機械の保守性向上にもつなげることができます。
  • 外部リソースの活用
    設計や組立を自信を持って進めるために追加の専門知識やサポートが必要な場合、適切なリソースとの橋渡しをお手伝いします。
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